TURN ラボ

富塚絵美、佐藤慎也、本多達也、島影圭佑、山蔦栄太郎、橋本瞭、三科聡子、梶谷真司
  • 参加作家・団体

このオペラは見えない。それは釣りをする時、魚がいても見えないのと同じ。このオペラは聞こえない。それは朝日が昇る時、地鳴りがしないのと同じ。ようこそ、これからのオペラハウスへ。大海を舞う魚のように、私たちを繋ぐ太陽のように、当たり前の日々を奏で続ける。


「TURNラボ」は、アーティストと各方面の専門家から見出されたリサーチテーマをもとに、さまざまな知覚の世界観や、多様な人との共生の方法などについて議論と考察を重ねるプログラムです。今回、2020年度に集ったメンバーから生まれた新しいアプローチやアイデアを一つの空間で展開します。

この作品は、アーティストの富塚絵美が書き下ろした「戯曲」を起点に、「盲ろう者が当たり前に創ることや鑑賞することを一緒に楽しめるオペラ=オポラ」を目指してつくられています。演劇ではなく、美術の世界に置かれた戯曲とその周りの創造物は、さまざまな他者と出会うための入り口として、知覚と想像する幅を広げていきます。建築家の佐藤慎也、人の知覚に関わるさまざまなプロダクトや作品を生み出す本多達也、島影圭佑、山蔦栄太郎、橋本瞭、目に見えない「身体」について探求する哲学者の梶谷真司、そして盲ろう者を対象にした教育の専門家である三科聡子とともに創造的な実験を展開します。

富塚絵美
Emi Tomizuka

アートディレクター。1985年神奈川県生まれ。通称ちょり。2009年より台東区の谷中に文化創造拠点を創造するアートプロジェクト《ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクト》を開始。2013年にホームパーティー形式パフォーマンス《どーぞじんのいえ》、2015年にピクニック形式パフォーマンス《威風DoDo》を発表。2015年よりTURNプロジェクトに継続参加。2019年より盲ろう者通訳・介助員。2020年より東京藝術大学キャリア支援室特任助教、京都市京セラ美術館事業企画推進室ラーニング・キュレーター。

Photo:Ayaka Umeda

佐藤慎也
Shinya Sato

建築家、日本大学理工学部建築学科教授、八戸市美術館館長。アートプロジェクトの構造設計、ツアー型作品の制作協力、まちなか演劇作品のドラマトゥルクなど、建築と美術、演劇の空間について、研究と計画、設計を行う。「+1人/日」(2008、取手アートプロジェクト)、「アーツ千代田3331」改修設計(2010年)、「アトレウス家シリーズ」(2010年~)、「としまアートステーション構想」策定メンバー(201117年)、「←(やじるし)」プロジェクト構造設計(長島確+やじるしのチーム、さいたまトリエンナーレ2016)、「みんなの楽屋」(あわい~、2017年、TURNフェス2)、「境界を越えて~アジアシリーズのこれまでとこれから~」会場構成・演出(2018、フェスティバル/トーキョー)など。

Photo:川瀬一絵(Kazue Kawase

本多達也
Tatsuya Honta

UIデザイナー・研究者
1990年香川県生まれ。大学時代は手話通訳のボランティアや手話サークルの立ち上げ、NPOの設立などを経験。人間の身体や感覚の拡張をテーマに、ろう者と協働して新しい音知覚装置の研究を行う。2014年度未踏スーパークリエータ。第21回AMD Award 新人賞。2016年度グッドデザイン賞特別賞。Forbes 30 Under 30 Asia 2017。Design Intelligence Award 2017 Excellcence賞。Forbes 30 UNDER 30 JAPAN 2019 特別賞。2019年度キッズデザイン賞特別賞。2019年度IAUD国際デザイン賞大賞。2019年度グッドデザイン金賞。Innovators Under 35 Japan 2020。

島影圭佑
Keisuke Shimakage

デザインリサーチャー。フィクション内の行為を実行する過程で立ちあがる想像力に着目したデザインメソッド「Live(Non-)Fiction」を実践的に研究。方法論の探求として〈日本を思索する〉や『私に向けた戯曲』など、自らを実験体にし日常の中で方法論を実践するプロジェクトに取り組む。また、そこで生まれた方法論をより複雑な社会課題に応用する形で、自立共生する弱視者やエンジニアを増やすプロジェクト〈FabBiotope〉に取り組んでいる。
https://note.com/ksksmkg

山蔦栄太郎
Eitaro Yamatsuta

株式会社Ubitone代表、エンジニア。
盲ろう者のためのコミュニケーションシステムを開発している。
生命と機械の混じり合う世界を想像し、エンジニア領域を専門としながらも医生物学領域での研究・スタートアップ立上げなどの創造を行なっている。

橋本瞭
Ryo Hashimoto

シンガポール、ニュージーランド、日本の三ヶ国で生活してきたバックグラウンドや、自分の意思では制御できない生理現象の経験から、アイデンティティ、自己と非自己の境界について関心を抱き、主体的な身体感覚に焦点を置き、主に体験者との接触を前提とした立体作品を中心に制作活動を行なっている。現在はデザイナーとして働きながら、非定期的に作品を発表している。
Ubitoneではデザイナーとして開発をサポートしている。

三科聡子
Satoko Mishina

20年以上、視覚障害に対し他の障害を併せ有する重複障害の子供たちが学ぶ特別支援学校に教員として従事。教員になる以前は、盲ろうの方々の通訳・介助員として活動していた。教員として、通訳・介助員として、人と人とのコミュニケ―ションの底力と人間の可能性を感じている。現在は宮城教育大学で、特別支援教育に携わることを志す学生と、日々語り合っている。

梶谷真司
Shinji Kajitani

東京大学大学院総合文化研究科教授。共生のための国際哲学研究センター(UTCP)センター長。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。専門は哲学、医療史、比較文化。身体と感情の現象学的研究のほか、江戸時代の育児書の研究も行っている。近年では、「共創哲学(inclusive philosophy)」を提唱し、〈哲学×デザイン〉プロジェクトを推進し、対話を軸に多様な人が共に考え活動する場を創っている。著書に『シュミッツ現象学の根本問題~身体と感情からの思索』(京都大学学術出版会・2002年)、『考えるとはどういうことか~0歳から100歳までの哲学入門』(幻冬舎・2018年)などがある。