あああああああああああ。聞こえますか?この音量で聞こえてますか? あああああああああああ。聞き取りやすい方に座ってくださいね。私の右側でも。左側でも。 えー、私は女王蜂です。うふふふふ。そうよ。レアキャラよ。うふふふふふふ。 あなたのコミュニケーション方法は何?私は音声。音声でいいの?私の声が聞こえづらければ、印刷したものもあるからもらっていってね。QRコードも書いてあるから、テキストデータが欲しいかたはゲットしてみてね。家でお気に入りの読み上げ機能で聞きたい人も持っていっていいわよ。何?なーに? ジョーオーだからって、なんでもわかってるわけじゃないのよ。むしろ一番、実際に何がどーなっているか知らないとも言えるわね。「トップ」って、そーゆーものよ。子分たちから聞いた情報を信じるしかないの。だって、いつどこで何が起きているか、全てに立ち会うことは誰にだって不可能でしょ。世界一周旅行したところで世界中を見た気には、なれないものよ。なれる人があさはかなの。気が済むかどうかが重要なのよ。気が済んだあとに、ようやく見えてくるから。そうよ。ようやく他者に目が向くのよ。見たい時に見えている世界なんて、見る前から見えているようなものよ。確認作業しかできないの。あなたが見たいもの次第なのよ。あなたと私が出会って、何か響き合うものがあれば、その響きあった部分が見えてくる。あなたの全ては永遠に私にもあなたにもわからないの。 でも落ち込むことはないのよ。ただそうだってだけの話なんだから。大丈夫なのよ。あなたがたとえ、みんなと違っていても、みんなも大した事してないし、あなただってそれなりにしかならない。そんなことよりも、ここで、こうして私とあなた、出会えたこと、ここでしか体験できないことなのよ?わかってるの?超超超レアで特別な体験なのよ。よかったわね。あなたはまず、知ることに限界があることを知るべきね。私はあなたがいつ、知った気になるか、見た気になるか、わかった気になるかに興味があるわ。「複雑に絡み合った境界線」に興味があるの。私、最近テレフォンショッピングで衝動買いしたものがあるの。橋本ってアーティストが作った作品よ。「複雑に絡み合った境界線」を味わう装置よ。私の声の飛んでいく先にあるアルミホイルの幕の裏側に、大きなボールのようなものがあるでしょ?あれは、蹴っ飛ばすものなのよ。台の上に乗っている手のひらくらいの大きさのものは、手で握って「境界線」に集中するための装置なの。よかったら蹴っ飛ばしてみて。蹴る前の気持ち、蹴ったあとの気持ち、蹴った時を思い出した時の気持ち、味わってね。格別よ。だってそのボール、人の形してるから。よかったら触って確かめてみて。大事なことはそこにあるようでないし、ないようであるのよ。目が見えたって見えなくたって、見えない人には見えないし、見たくたって見えないのよ。見える方が変なのよ?どうしてあなたには見えるの?