TURNの記録写真

  • 参加作家・団体

フォトグラファーの冨田了平は、複数年間TURNのさまざまな 活動を記録してきました。今回、TURN の多彩な瞬間に立ち会っ てきた冨田の視点で 選抜した写真を展示します。 TURNで生まれた数々の出会いと時間をお楽しみください。

撮影・選定:冨田了平

冨田了平
Ryohei Tomita

1986 年名古屋市出身。フォトグラファー/ビデオグラファー。
東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科卒、同大学院音楽研究科修了。東京と名古屋をベースに、様々な形態のプロジェクトの写真・映像での記録のほか、映像作品の制作などを行う。
http://ryoheitomita.tumblr.com

PARC

  • 参加作家・団体

こんな状況を逆⼿にとって、TURNフェスを楽しもう!

来場者が豊かな体験と出会えるよう、さまざまなコミュニケーションを誘発する企画を実践してきたPARCが、今回のTURNフェスを機に、コロナ禍における展覧会やイベントの楽しみ方を考えました。その多彩なアイデア群を紹介し、いくつかの試みを実践します。
ソーシャルディスタンスを確保しながら、TURNフェスを楽しみ、新しい視点を見出したり、いつもと異なる鑑賞の仕⽅を知ったり、不便さを逆⼿にとることでこれまでになかった一歩が生まれたり。⼩さな気付きにつながる仕掛けを探ります。


【ツアー開催】うちわ de “ドン!”
感想を図形で表現するなど、ユニークなフリップを使ってやりとりを楽しむ鑑賞ツアーを開催します。

●日時
8月17日(火)11:00~12:00(受付開始10:50)
8月18日(水)11:00~12:00(受付開始10:50)
8月19日(木)11:00~12:00(受付開始10:50)

●集合場所
TURNフェス6 受付カウンター

PARC(特定非営利活動法人アート・コミュニケーション推進機構)

美術館を拠点にアートを介してコミュニティを育むソーシャルデザインプロジェクト「とびらプロジェクト」で、アート・コミュニケータとして活動していた「とびラー」の卒業生が立ち上げたNPO。人びとの心の豊かさを育むアートを介した対話や創造の場が社会に必要だと考え、それを支えるアート・コミュニケータの活躍の場を広げるための活動をしている。

<TURN LAND 活動紹介>東京大学大学院農学生命科学研究科附属生態調和農学機構(東大生態調和農学機構)

  • 参加作家・団体

2017年度より東大生態調和農学機構の圃場(ほじょう)を借りて、同大学との共同研究と位置づけたTURN LAND 事業に着手。 アーティストの岩間賢とともに、初年度は、不登校やひきこもりを経験している/した人などが通うシューレ大学を参加者に迎え、2年目からは西東京市内の障害者支援施設さくらの園生活介護が加わり、月に一度農業活動(小麦と大豆の栽培など)とアート活動(ワークショップなど)を複合したプログラムを実施しました。2019年には、TURNフェス5関連企画「ひまわり迷路」を実施し、当機構の技術専門職員やひまわり市民ボランティア協力のもと、1,000㎡の圃場に創作したヒマワリ迷路を一般公開しました。そうした活動を通してどのような効果が参加者にもたらされるのかを、生理学的、行動的、心理的、また社会的な指標から測定し、検証を行いました。
今回、これまでの活動の展開を紹介し、考察する場として展示します。

【研究代表者】
東京大学大学院農学生命科学研究科附属生態調和農学機構 准教授 安永円理子 
                           助教 深野祐也

【共同研究者】
公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京

東京大学大学院農学生命科学研究科附属生態調和農学機構
Institute for Sustainable Agro-ecosystem Services, Graduate School of Agricultural and Life Sciences, The University of Tokyo

東京大学大学院農学生命科学研究科附属生態調和農学機構(東大生態調和農学機構)は、2010 年、大学の附属施設である農場と緑地植物実験所を統合し、演習林田無試験地の教育研究機能を組み入れ設置された。
30 ヘクタール以上の面積に、耕地(畑地、水田、樹園地)、林地(演習林)、温室、見本園などがあり、農学における統合的な教育研究を実践している。また、多くの地域住民や市民との連携によってさまざまな教育・研究プログラムも実施している。
2017年度より東大生態調和農学機構の圃場にて、同大学との共同研究として、TURNLAND 事業に着手。
農業活動(小麦と大豆の栽培など)とアート活動(ワークショップなど)を複合したプログラムを実施した。

岩間賢
Satoshi Iwama

1974年千葉県生まれ。2002年東京藝術大学美術学部後期博士課程修了後、同大学教育研究助手を務め、2006年より3年間にわたり文化庁新進芸術家在外派遣研究員として中国で研修。
その後、ユニオン造形文化財団と吉野石膏美術振興財団から研究助成を受け、東アジアで創作研究活動を行う。現在、愛知県立芸術大学美術学部准教授。
これまでに「京都芸術祭」(京都)、「最上環境芸術祭」(山形)、「森のはこ舟アートプロジェクト」(福島)、「越後妻有アートトリエンナーレ」(新潟)、「中国ビエンナーレ」(中国)、「旺山開天ビエンナーレ」(韓国)などで作品を多数発表。
「遠い未来ではない、今から地続きの10年後の未来を多視点な角度から捉え、美術、音楽、ダンス、建築、農学、社会学、生命研究等、様々な分野が領域を超えて共振する新しい世界観・知の場をつくる必要がある」と考え、近年は、取手アートプロジェクト「半農半芸」(茨城)、「中房総国際芸術祭」(千葉)、「Onomichi AIR MUSEUM」(広島)、などでディレクターとして、多様な世代と分野の方々との協働プロジェクトや教育プログラムの企画なども行っている。
https://www.oh-mame.com

TDU・雫穿大学
Tekisen Democratic University

2020年度より参加
TDU・雫穿大学は、その人自身の関心から学び、自分としての「生き方」「働き方」を模索できるオルタナティブ大学です。不登校・ひきこもりなど苦しさを抱えた若者も多く通い、自己否定感などを解体し自分の関心を探りながらさまざまなことを学び、その関心から始まる自分に合った「働く」「生きる」の形を実践的に創っています。
https://tdu.academy/

さくらの園
Sakura no Sono

社会福祉法人さくらの園は、西東京市を拠点に、障害のある人たちの就労支援、生活支援を行っている。
現在、7つの障害福祉サービスを提供しており、本プログラムには就労継続支援B型事業所「クルール」と西東京市障害者就労支援センター「一歩」が参加協力している。

井川丹

  • 参加作家・団体

TURN NOTES

「TURN NOTE」とは、ノートとしての装いをコンセプトに、TURNの活動に関わるなかで生まれたさまざまな人たちの言葉を断片的に一冊にまとめた書籍です。一人ひとりの発見の瞬間や、葛藤、予感などに触れられるよう、発せられた時の言葉をできるだけそのまま収録しています。

2016年から2020年までの5冊のTURN NOTEに収められた言葉たち。それらに出会った作曲家の井川丹は、綴られた言葉を音楽として変換することを発案しました。「NOTE」という単語には、普段の耳慣れた「ノート」という意味のほかに、音、音符、音調といった意味もあります。2者の多彩な声色にのせられたTURN NOTEの言葉が、複数の音の重なりとともに空間に拡がり、それぞれ異なる形に姿を変えて、一人ひとりの身体を包みます。

声:田中俊太郎 渡邉智美
録音・音響:田中文久

井川丹
Akashi Ikawa

音楽家。東京藝術大学作曲科卒業。人の声のもつ質感にひかれ、その連なりや重なりによって浮かび上がる織り模様の探求をライフワークとしている。音楽作品の制作をはじめ、美術家・建築家・ダンサー等との共同制作やパフォーマンス、こども創作教室〈ぐるぐるミックス〉の講師など幅広い活動を展開中。

【近年の主な作品・活動】
女声合唱とピアノのための「わたしを束ねないで」(2018、所沢市民文化センターミューズ)
女声合唱のための幻想ー港三景ー(2018、さいたま市文化センター)
水郷ひた芸術文化祭 大巻伸嗣個展「SUIKYO」Liminal Air(音楽制作:2018、日田市複合文化施設 AOSE)
Memorial Rebirth 千住 2018 西新井(音楽制作・出演:2018、足立区立西新井第二小学校)

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<TURN LAND 活動紹介> 板橋区立小茂根福祉園

参加アーティスト: 大西健太郎、宮田篤
  • 参加作家・団体

板橋区立小茂根福祉園は、2015年度からTURNに参加し、2017年度よりTURN LANDをスタートしました。現在、アーティストの大西健太郎と宮田篤が参加し、ともに企画をつくり、人と場の交流を深めています。これまでに参加型パフォーマンス「『お』ダンス」や、施設利用者の「きらり」としたシーンを紹介する「きらりグッと」など、さまざまな表現や企画を通して親交を重ねてきました。
今回の展示では、2021年1月に開催したプログラム「リモート文通式劇場-こもね座『四コマバイオーム』」が実現するまでの軌跡や、一般参加者と制作した八コマ漫画などを紹介します。

▶︎「リモート文通式劇場-こもね座『四コマバイオーム』」が実現するまでの軌跡をまとめた冊子『MAGAZINE こもね座 特別号』はこちらからご覧いただけます >>> https://turn-project.com/timeline/output/12982

板橋区立小茂根福祉園
Itabashi-ku Komone Fukushien (welfare facility)

障害者支援サービスを行う通所施設。1982年に東京都板橋区に開設し、一人ひとりがかけがえのない個性豊かな社会の一員として「私らしく」住み慣れた地域で普通の暮らしができることを願い、支援を行っている。生活介護サービスでは、日常の介護とともに創作活動や生産活動、社会参加の機会を提供。就労継続支援B型サービスでは、就労に必要な知識と能力向上の訓練を行いながら、生活支援や余暇活動をしている。両サービスで実施しているアトリエ活動では、豊かな感性や自由な発想で、その人らしい表現が生まれている。

大西健太郎
Kentaro Onishi

ダンサー。1985年生まれ。東京藝術大学大学院先端芸術表現科修了後、東京・谷中界隈を活動拠点とし、まち中でのダンス・パフォーマンスシリーズ「風」を開始する。その場所・ひと・習慣の魅力と出会い「こころがおどる」ことを求めつづけるパフォーマー。2011年に東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京と一般社団法人谷中のおかっての共催によるこども創作教室「ぐるぐるミックス」の立ち上げより、ファシリテーター、統括ディレクターを務める。2014年より「風と遊びの研究所」を開設。板橋区立小茂根福祉園にて他者との共同創作によってつくり出す参加型パフォーマンス「『お』ダンス プロジェクト」を展開。2018年南米エクアドルにて「TURN-LA TOLA」の参加アーティストとして、地域住民と共同パフォーマンス〈El Azabiro de La Tola〉の公演をおこなう。

http://kentaronishi.wordpress.com

宮田篤
Atsushi Miyata

美術家。1984年愛知県生まれ、東京都在住。2009年愛知県立芸術大学大学院美術研究科美術専攻修了。2011年より取手アートプロジェクト コアプロジェクト《アートのある団地》 パートナーアーティスト [宮田篤+笹萌恵]。おとなもこどももあそべるぶんがく「微分帖」など、ワークショップやドローイングによって他者との関わりの中にある差異を見つめることを制作の契機にしている。おもな活動に「アーティスト・イン・ミュージアム宮田篤+笹萌恵meets岐阜県図書館」岐阜県美術館(岐阜/2019)、「わくわくなおもわく」はじまりの美術館(福島/2019)、「びぶんブックス」トーキョーアーツアンドスペース本郷(東京/2019)、「ふしぎの森の美術館」広島市現代美術館(広島/2010)など。

http://divnote.strikingly.com

<交流プログラム 活動紹介> マチーデフ×福祉ホームさくらんぼ

  • 参加作家・団体

2019年度より、ラッパーのマチーデフは「豊島区立心身障害者 福祉ホームさくらんぼ」と交流を行っています。1 年目は、施設に定期的に通い、時に利用者と同様に宿泊しながら、生活の時間を共有してきました。それらの体験を通して、施設利用者やスタッフとともに編み出していた言葉をもとに、マチ―デフがリズムや抑揚を引き出しながら、オリジナルラップが生まれました。2020年度には、ウェブ会議ツール等を活用した遠隔での交流を実施しました。今回の展示では、さまざまな工夫を行いながら交流を行ったマチーデフと「福祉ホームさくらんぼ」の活動の様子を紹介します。

マチーデフ
MACHEE DEF

ラッパー、作詞家、ラップ講師
渋谷区生まれ幡ヶ谷育ち、メガネのやつは大体友達。1997年にラップを始め、オトノ葉Entertainmentのラッパーとして数多くの作品をリリース。2014年にソロとなりアルバム「メガネデビュー。」を発表。自主制作ながらiTunesヒップホップアルバムチャートで1位を獲得した。またCM、映画、テレビ番組等のラップ企画において作詞や監修を務めるなど “ラップクリエイター” としても精力的に活動。さらに毎週複数の専門学校で授業を行う “ラップ講師(11年目)” でもあり、長年の経験で培った豊富なメソッドを活かしアイドルのラップ指導やAIラッパーの研究開発にも従事している。2019年、13曲入りのフルアルバム「メガネシーズン」を発表。
https://www.macheedef.com

豊島区立心身障害者福祉ホームさくらんぼ
Toshima Welfare Home for people with disablities Sakuranbo

1992年に豊島区の福祉施策の一環として設立した福祉ホーム。心身に障害のある人が、親亡き後にも住み慣れた地域で生活が継続できるよう、また利用者の望む地域生活が叶うように、長期自立援護、緊急一時保護、短期自立訓練、レスパイト(保護者の休息を目的とした支援)を行っている。その他、自主事業として、共同生活援助事業、自立生活援助事業、特定相談支援事業及び地域ほっとサービスを併設し、地域で暮らすために必要な切れ目のない支援の提供を目指し活動している。

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伊勢克也

  • 参加作家・団体

桃三ふれあいの家との交流記録

アーティストの伊勢克也は、TURN交流プログラムの一環で「桃三ふれあいの家」に定期的に通い、そこで過ごす高齢者と俳句や編み物、絵手紙などの活動を通して、対話を重ねてきました。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により施設に赴けなくなった2020年、オンライン会議ツールなどを介して交流を続け、「家」をテーマにしたワークショップも行われました。それぞれが語る「家」にまつわるエピソードから、一人ひとりの「生きること」の小さな差異が見出され、その複雑さから伊勢は社会の多様性のあり方を想います。

今回、交流の経験を通して、伊勢が思わずつくってしまった編み物や、交流を通して残された記録の断片やドローイングを紹介します。また、そしてワークショップで桃三ふれあいの家の利用者の手によってつくられた小さな「家」を、それに添えられた言葉とともに展示します。



「あみもの」

2020年春、僕は映画『男はつらいよ』を観ながら<あみもの>をしていた。何を作るでもなく編み針で毛糸を操っている毎日。勤務校のテキスタイル研究室から使わない手染めの毛糸を大量に手に入れていたので、材料には事欠かない。とはいえ、オモテ編みとウラ編みを習った程度、で、帽子しか編んだことがないので、編み上がっていくモノは筒状のかたちとなっていく。

そもそも編み物を始めたのは「桃三ふれあいの家」で月に1度行われる「手芸」のプログラムに参加したことにある。最初の編み目の作り方から教えてもらい、見よう見まねでやってみるのだが、なんとも上手くいかない。「手芸」は月に1度開催されるプログラムなので、それ以外の日は、帰宅のマイクロバスの待ち時間に利用者さんにお願いして教えてもらった。何度も編んではほどき編んではほどきを繰り返して、ようやく棒針編みとカギ針編みの基本にたどり着いた。

「パパったら、朝から晩までずっと同じ格好で同じ場所にいる」僕の様子を覗き見た娘が、『男はつらいよ』に登場するサクラが呆れた時に使う台詞のようにつぶやく。<あみもの>は危険だ。常習性がある。『男はつらいよ』は言わずもがな。
<あみもの>は毛糸と編み針に時間をあずけることができる。その後に編み物というかたちが現れる。あの去年のなんともしようのない時間を僕は<あみもの>にあずけてやり過ごした。<あみもの>をしている間は、なぜか人のことを想った。「桃三ふれあいの家」の利用者の方々のこと、両親のこと。人間をテーマに作品をつくろうかなと、ふと思った。



「家のワークショップ」

小さな家を作ることで、過去の記憶が小さな物語となって立ち現れてくる。
利用者のみなさんとの交流の僕の目的は、それぞれの人生を言葉にしてもらうことにある。ご本人の言葉で語られる物語を側で顔を見ながら聴く時間には、なんともいえない心地良さがある。そこには物語の醍醐味がある。
直接交流ができない状況が続いているので、小さな家を作りそれに匿名の手紙を添えてもらい、それを僕が読むというラジオ番組のようなワークショップを考えてみた。
少し手のかかるやりとりとなったが、読まれるということでまた違う展開が生まれる可能性が考えられる。また、施設スタッフからは普段聞かないようなお話を聞くことができて楽しい時間であったとの感想も。



伊勢克也

伊勢克也
Katsuya Ise

1960年 岩手県盛岡市生まれ
1986年 東京芸術大学 大学院美術研究科 修了

自然/人工物/メディア空間等さまざまな環境で発生し存在するモノやイメージが形作る形態をテーマに作品を制作し、さまざまなワークショップを行なっている。制作のためのプロジェクトや制作された作品は全て「Macaroni」という名称でまとめられている。個展やグループ展等で作品を発表。国内外のプロジェクトにも参加している。2012年からスタートしたポーランドでの日本庭園プロジェクト「Ogród japoński w Katowice」を継続中。現在、女子美術大学短期大学部教授 デザインコースメディア担当

桃三ふれあいの家
Momosan fureai no ie

「人と人とを繋ぎながら地域に根ざした福祉のまちづくり」を目指した高齢者在宅サービスセンターとして、2000年に杉並区の桃井第三小学校内に併設される形で始動。認定特定非営利活動法人ももの会によって運営され、現在は西荻窪の別の場所へ移転し、活動を続けている。音楽リハビリテーション、手工芸、書道、絵手紙、陶芸、俳句など複数のプログラムを取り入れ、利用者が自由に参加している。また、運営や食事づくりのノウハウとボランティアネットワークを活かすことで、暮らしやすいまちづくりに貢献することを目指し、2010年からはレストラン「かがやき亭」を展開。

五十嵐靖晃×クラフト工房La Mano

  • 参加作家・団体

手とその人 ~自分と社会を手でつなぐ32人のかたち~


クラフト工房La Manoは、2015年よりTURNに参加し、アーティストの五十嵐靖晃ともに交流を重ねてきました。その交流を展開させ、2017年度からTURN LAND「手のプロジェクト」をスタートしています。五十嵐は、クラフト工房La Manoの利用者やスタッフが、普段の仕事の中で触れている「糸」や「手」に着目し、「束ねる」「巻く」「手渡す」といった素材を扱うシンプルな所作と向き合ってきました。そこから、一人ひとり異なるリズムを見出し、人と人をつなぎ、時間を共有する場が生み出されてきました。
今回、クラフト工房La Manoと五十嵐が、施設利用者の一人ひとりの「手」に焦点をあて、そこから見出される多様な形と豊かな時間を共有する場を展開します。

五十嵐靖晃
Yasuaki Igarashi

1978年千葉県生まれ。2005年東京藝術大学大学院修士課程修了。人々との協働を通じて、その土地の暮らしと自然とを美しく接続させ、景色をつくり変えるような表現活動を各地で展開。これまでのプロジェクトで、2005年にヨットで日本からミクロネシアまで約4000㎞、2012年に日本海沿岸をたどる約970㎞の航海を経験。“海からの視座”を活動の根底とする。代表的なプロジェクトとして、樟の杜を舞台に千年続くアートプロジェクトを目指す福岡県太宰府天満宮での「くすかき」(2010〜)、漁師らと共に漁網を空に向かって編み上げ土地の風景をつかまえる「そらあみ」(瀬戸内国際芸術祭2013・2016)、山間に暮らす人々と協働し湖と雲を組紐で結ぶ「雲結い」(北アルプス国際芸術祭2017)など。世界の時間が一点に集まる南極で、子午線を糸に見立てて、世界中から集った人々と組紐を組み、その紐を使って皆で凧揚げをするプロジェクト「時を束ねる」(南極ビエンナーレ2017)を展開。

http://igayasu.com

クラフト工房La Mano
Atelier La Mano

東京都町田市の小さな里山にたたずむ築120年の民家で、障害のある人とない人がともにものづくりに励んでいる。1992 年に障害のある人の作業所として設立。2009年より就労継続支援B型事業を開始した。2021年「認定NPO法人」の承認を得る。
「La Mano」は「手」の意味で、「手しごとを中心とした物づくりで、魅力ある製品をつくり社会と繋がっていく」という思いが込められてい る。染め、織りなどのクラフト製品には、藍や草木で染めた糸や布などを使っており、自然の温かみが感じられる。2006 年からはアート活動を開始し、利用者それぞれが個々の豊かな表現活動を行っている。

TURN ラボ

富塚絵美、佐藤慎也、本多達也、島影圭佑、山蔦栄太郎、橋本瞭、三科聡子、梶谷真司
  • 参加作家・団体

このオペラは見えない。それは釣りをする時、魚がいても見えないのと同じ。このオペラは聞こえない。それは朝日が昇る時、地鳴りがしないのと同じ。ようこそ、これからのオペラハウスへ。大海を舞う魚のように、私たちを繋ぐ太陽のように、当たり前の日々を奏で続ける。


「TURNラボ」は、アーティストと各方面の専門家から見出されたリサーチテーマをもとに、さまざまな知覚の世界観や、多様な人との共生の方法などについて議論と考察を重ねるプログラムです。今回、2020年度に集ったメンバーから生まれた新しいアプローチやアイデアを一つの空間で展開します。

この作品は、アーティストの富塚絵美が書き下ろした「戯曲」を起点に、「盲ろう者が当たり前に創ることや鑑賞することを一緒に楽しめるオペラ=オポラ」を目指してつくられています。演劇ではなく、美術の世界に置かれた戯曲とその周りの創造物は、さまざまな他者と出会うための入り口として、知覚と想像する幅を広げていきます。建築家の佐藤慎也、人の知覚に関わるさまざまなプロダクトや作品を生み出す本多達也、島影圭佑、山蔦栄太郎、橋本瞭、目に見えない「身体」について探求する哲学者の梶谷真司、そして盲ろう者を対象にした教育の専門家である三科聡子とともに創造的な実験を展開します。

富塚絵美
Emi Tomizuka

アートディレクター。1985年神奈川県生まれ。通称ちょり。2009年より台東区の谷中に文化創造拠点を創造するアートプロジェクト《ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクト》を開始。2013年にホームパーティー形式パフォーマンス《どーぞじんのいえ》、2015年にピクニック形式パフォーマンス《威風DoDo》を発表。2015年よりTURNプロジェクトに継続参加。2019年より盲ろう者通訳・介助員。2020年より東京藝術大学キャリア支援室特任助教、京都市京セラ美術館事業企画推進室ラーニング・キュレーター。

Photo:Ayaka Umeda

佐藤慎也
Shinya Sato

建築家、日本大学理工学部建築学科教授、八戸市美術館館長。アートプロジェクトの構造設計、ツアー型作品の制作協力、まちなか演劇作品のドラマトゥルクなど、建築と美術、演劇の空間について、研究と計画、設計を行う。「+1人/日」(2008、取手アートプロジェクト)、「アーツ千代田3331」改修設計(2010年)、「アトレウス家シリーズ」(2010年~)、「としまアートステーション構想」策定メンバー(201117年)、「←(やじるし)」プロジェクト構造設計(長島確+やじるしのチーム、さいたまトリエンナーレ2016)、「みんなの楽屋」(あわい~、2017年、TURNフェス2)、「境界を越えて~アジアシリーズのこれまでとこれから~」会場構成・演出(2018、フェスティバル/トーキョー)など。

Photo:川瀬一絵(Kazue Kawase

本多達也
Tatsuya Honta

UIデザイナー・研究者
1990年香川県生まれ。大学時代は手話通訳のボランティアや手話サークルの立ち上げ、NPOの設立などを経験。人間の身体や感覚の拡張をテーマに、ろう者と協働して新しい音知覚装置の研究を行う。2014年度未踏スーパークリエータ。第21回AMD Award 新人賞。2016年度グッドデザイン賞特別賞。Forbes 30 Under 30 Asia 2017。Design Intelligence Award 2017 Excellcence賞。Forbes 30 UNDER 30 JAPAN 2019 特別賞。2019年度キッズデザイン賞特別賞。2019年度IAUD国際デザイン賞大賞。2019年度グッドデザイン金賞。Innovators Under 35 Japan 2020。

島影圭佑
Keisuke Shimakage

デザインリサーチャー。フィクション内の行為を実行する過程で立ちあがる想像力に着目したデザインメソッド「Live(Non-)Fiction」を実践的に研究。方法論の探求として〈日本を思索する〉や『私に向けた戯曲』など、自らを実験体にし日常の中で方法論を実践するプロジェクトに取り組む。また、そこで生まれた方法論をより複雑な社会課題に応用する形で、自立共生する弱視者やエンジニアを増やすプロジェクト〈FabBiotope〉に取り組んでいる。
https://note.com/ksksmkg

山蔦栄太郎
Eitaro Yamatsuta

株式会社Ubitone代表、エンジニア。
盲ろう者のためのコミュニケーションシステムを開発している。
生命と機械の混じり合う世界を想像し、エンジニア領域を専門としながらも医生物学領域での研究・スタートアップ立上げなどの創造を行なっている。

橋本瞭
Ryo Hashimoto

シンガポール、ニュージーランド、日本の三ヶ国で生活してきたバックグラウンドや、自分の意思では制御できない生理現象の経験から、アイデンティティ、自己と非自己の境界について関心を抱き、主体的な身体感覚に焦点を置き、主に体験者との接触を前提とした立体作品を中心に制作活動を行なっている。現在はデザイナーとして働きながら、非定期的に作品を発表している。
Ubitoneではデザイナーとして開発をサポートしている。

三科聡子
Satoko Mishina

20年以上、視覚障害に対し他の障害を併せ有する重複障害の子供たちが学ぶ特別支援学校に教員として従事。教員になる以前は、盲ろうの方々の通訳・介助員として活動していた。教員として、通訳・介助員として、人と人とのコミュニケ―ションの底力と人間の可能性を感じている。現在は宮城教育大学で、特別支援教育に携わることを志す学生と、日々語り合っている。

梶谷真司
Shinji Kajitani

東京大学大学院総合文化研究科教授。共生のための国際哲学研究センター(UTCP)センター長。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。専門は哲学、医療史、比較文化。身体と感情の現象学的研究のほか、江戸時代の育児書の研究も行っている。近年では、「共創哲学(inclusive philosophy)」を提唱し、〈哲学×デザイン〉プロジェクトを推進し、対話を軸に多様な人が共に考え活動する場を創っている。著書に『シュミッツ現象学の根本問題~身体と感情からの思索』(京都大学学術出版会・2002年)、『考えるとはどういうことか~0歳から100歳までの哲学入門』(幻冬舎・2018年)などがある。

<TURN交流プログラム 活動紹介> 井川丹×アプローズ南青山

  • 参加作家・団体

作曲家の井川丹は「アプローズ南青山」と交流を重ねています。井川が専門とする「音」や「音楽」と、アプローズ南青山が専門とする「花」という素材を活用し、「音楽と花の往復書簡」を展開しました。井川は「音」をアプローズ南青山に送り、アプローズ南青山は井川から送られた音を鑑賞し、そこから感じたイメージや沸いてくるインスピレーションを「フラワーアレンジ メント」などにして返答。アプローズ南青山から届く「花」からまた井川が「音」で応答をするという、文通をするかのような相互のやりとりがゆっくりと重ねられてきました。そのやりとりからは、「奏でる」「聴く」「見る」「香る」「触れる」といった、さまざまな感触が立ち上がります。今回の展示で、それぞれが慣れ親しんだ素材と五感を組み合わせて展開した交流の様子を紹介します。

井川丹
Akashi Ikawa

音楽家。東京藝術大学作曲科卒業。人の声のもつ質感にひかれ、その連なりや重なりによって浮かび上がる織り模様の探求をライフワークとしている。音楽作品の制作をはじめ、美術家・建築家・ダンサー等との共同制作やパフォーマンス、こども創作教室〈ぐるぐるミックス〉の講師など幅広い活動を展開中。

【近年の主な作品・活動】
女声合唱とピアノのための「わたしを束ねないで」(2018、所沢市民文化センターミューズ)
女声合唱のための幻想ー港三景ー(2018、さいたま市文化センター)
水郷ひた芸術文化祭 大巻伸嗣個展「SUIKYO」Liminal Air(音楽制作:2018、日田市複合文化施設 AOSE)
Memorial Rebirth 千住 2018西新井(音楽制作・出演:2018、足立区立西新井第二小学校)

アプローズ南青山
Applause Minamiaoyama

2014年に開設した就労継続支援B型事業所。障害のある人が仲間とともにフラワーアレンジメントの技術を学びながら働く場。こころやからだに障害のある利用者たちが、“ゆっくり”と丁寧にフラワーアレンジメント作品を完成させ、販売を行っている。「障害のある方が地域で暮らし、働き、自らの夢をかなえることを支援するため、アプローズ南青山自らも絶えず創造、挑戦し、ともに成長し続ける」ことを理念に掲げ、新たな福祉の形を目指している。

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